主な悪性骨腫瘍の種類と解説 - 骨肉腫

 骨肉腫は骨内に発生する非常に高悪性度の腫瘍であり、骨膜や周囲の軟部組織へ急速に大きくなります。骨原発性悪性腫瘍の中では最も頻度が高く、日本での全原発性骨腫瘍の約40%を占めると報告されています。発生率は、人口7〜10万人に1人の発生率と言われており、日本全国で1年間に約100人の発生率です。

発生年齢
 好発年齢は二峰性で、10歳代が約60%であり、もう一つの好発年齢は70歳代です。
発生部位
 大腿骨遠位部と脛骨近位(膝関節)からの発生が75%と圧倒的に多い。次いで、上腕骨近位部(肩関節)に好発します。
症状
 通常は、痛みが初発症状のことが多い。痛みは常に存在し、徐々に痛みの程度は増強します。時々、腫瘤を触れることがあります。病的骨折はまれと言われています。腫瘍が増大すると、発赤、局所熱感なども出現します。
治療
 1970年代以前には、骨肉腫と診断されると直ちに切断術が行われていました。しかし、その後に発生する肺転移のため、5年生存率は10〜15%でした。その後の系統的な化学療法(抗がん剤)を使用した治療により、現在では5年生存率は80%近くまで改善しています。
 骨肉腫の患者が局所の症状を自覚した時には、肺にはすでに微小転移があるという考えで治療を行うのが、世界的にも標準的な治療となっています。まず、手術に先立ち術前化学療法を行い、手術(広範切除術)をします。そして、手術後にも化学療法を行います。岡山大学では、国立がんセンターなど全国の主要治療病院が行っている化学療法プロトコールで治療を行っており、岡山で日本の標準的な治療を受けることが可能です。
 しかし、現在でも化学療法があまり効かない骨肉腫があり、再発、転移が生じます。治療が終わっても、外来で定期的な検査(胸部レントゲンなど)を行うことが必要です。

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